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「フリースケジュール制について」など。「生きる職場」武藤北斗さんトークショーまとめ 2/2

西荻窪 旅の本屋「のまど」看板

先日お伝えした、トークショーのまとめ、その2です。

その1は→こちらから

下の目次から気になるところをどうぞ。

目次

10.気持ちよく働けるための配慮

 

スライド 気持ちよく働けるための配慮

 

  1. 就業時間内の面接
  2. 休憩の入り方
  3. 遅いのは悪いことではない
  4. ルールをともに作る
  5. 工場長は作業が下手と認める
  6. 休みの質
  7. 自由の中の小さな秩序
  8. パート長は作らない
  9. 時給に差をつけない
  10. 挨拶は大事(自分たち以外にも)
  11. 自分たち以外にも配慮
  12. 会社としての社会貢献

 

3「遅いのは悪いことではない」と9「時給に差をつけない」にまつわるお話がありました。
「勤続年数が長くても」「長時間働いても」「仕事ができても」時給は変わらないそうです。
勤続年数は、誰でも新人の時代があったから。
長時間働くことで時給を上げると、本人がそれに縛られるようになるから。
また、一概に仕事のことだけで時給を上げることに抵抗があるということです。
武藤さんは仕事の効率だけでなく、「その人がいるだけで雰囲気が良くなる」といった仕事以外の部分も評価されています。
「誰にでも、いいところも悪いところもある」
根本にこの考えがあるのです。

4の「ルールをともにつくる」のがとても大事だとおっしゃっていました。
一緒につくることで、パートさんたちは職場をよりよくするためにルールを守ってくれるそうです。
上から押しつけられたルールは、会社の都合のいいルールであることが多いですもんね。

7の「自由の中の小さな秩序」というのは、「挨拶」「時間を守る」「陰口を言わない」というものです。
パートさんには陰口を言わせない代わりに、嫌なことや困ったことは武藤さんに伝えてもらうようにしているそうです。
パートさんの訴えを聞き、それを武藤さん自身で観察し、確かめる。
そして、自分で見つけたときに武藤さんから注意するということです。
こういう手間のかかることを1つ1つ行う姿勢を見せているからこそ、パートさんからの信頼も厚くなるのですね。
この人になら相談してみようと思える上司がいる職場って、働きやすいです。

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11.フリースケジュール制を採用することで、社員へのしわ寄せは?

現在、社員の方は下記の働き方ができているそうです。

  • 土日祝日休み
  • 18時退勤
  • 有給取得可
  • 連休取得可

社員の方は、最近も10日ほど休んでハワイに行かれたそうです。
パートさん達は自分たちが自由に働けるので、社員さんがいないときはその分助けてくれるそうです。
パートさんが自由になる分、社員も自由になれるんですね。

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12.困ったときの投書頼みと、伝えたい言葉

武藤さんは、会社の取り組みを社会への投げかけとして広げたいと考えました。
ご自身でSNSへ投稿し、がんばって伝えようとしたのですがなかなかうまくいきませんでした。
頑張れば頑張るほど、逆にまわりが引いてしまう感じだったそうです。

武藤さんのことが大きく知られるきっかけになったのは、新聞への投書でした。
投書が載ってもすぐには反響はありませんでした。
数週間経って、あるひとりの人がtwitterに載せたことをきっかけに広まりました。
(いわゆる、バズった状態です)

(参考:togetter 「好きな日に連絡なしで出勤・欠勤できる」システムを確立した工場長の話にさまざまな声が集まる

こういった新聞への投書は、すでに10回掲載されているとおっしゃっていました。
それが「困ったときの投書頼み」ですね。

投書って、新聞社の人がわかりやすく文章を書き換えることがあるそうです。
武藤さんは、文章の最後に言いたいことを入れてあり、そこだけは変えないでほしいと言うそうです。
その文章が載らないのであれば、投書自体載らなくて構わないという考えだそうです。

トークショーの最後は、ある投書の最後の言葉で締めくくられました。

意思を尊重して利益を生むプラスの循環は、争いのあふれる世界を変えていく力があるはず。会社も世界も疑い合うこと、縛り合うこと、競い合うことから抜け出す時期にきたように思います。

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13.質疑応答

Q. 話し合いなどは活発に行われているか?
A. 面談の申し入れがあれば、いつでも。全員との均等な面談は数ヶ月に1度。ミーティングは人数が多い時に。30分くらい。短いと15分、長いと1時間。

Q. 武藤さんの理念や大切にしていることは、パートさんも共有しているか?
A. 基本的には、働きやすければいいと思っているのでは。世の中に広げようとまでは思っていないと思う。

Q. フォロワーは?
A. 新人さんが多い。共感して入社されているので。既存のパートさんとは温度差がある。

Q. そういう人たちは入社されて、理想と現実のギャップはないのか?
A. 多分ある。(武藤さんの)話も変わるので。あれ?と思ったなら、そこで話し合って解決する。

Q. マグロは減少しているが、エビはどうか?
A. パプアニューギニアの政府は厳しい。禁漁、マイル規制、ライセンス制限など。だから今のところはない。

Q. かつて人を信用していなかった理由は?
A. 人と関わろうとせず、勝手に恐れていた。

Q. フリースケジュールを採用するにあたって、社長の反応は?
A. 「わかった」と信用してくれた。段階的に始めたのと「ダメなら戻す」と言ったのもよかったかも。

Q. 自由の中の小さな秩序について
A. 全てが自由というのはダメだと思っている。挨拶をしっかりする、時間を守る、陰口を言わない。やぶったら激怒。パートさんも働きやすくなっているので、聞いてみようという姿勢になっている。昔は反発から入っていたが、今は聞いてくれる。

Q. 終了時間はどうしているか?
A. ボードに貼ってもらう。通勤時間をかけて通っているのだから、ある程度長く働くと思っていた。しかし、15:30〜16:30という人もいた。

(注)これは、たった1時間しか働かないという文句などではありません。
「たった1時間!17時までもいないのか!笑える!」ということです。
「それが大事です!」とおっしゃっていました。

Q. 誰もこなかった日は?
A. 4年間で1日だけ。人数が増え、時間も自由になったので、今後0人ということはないと思う。

Q. 学校などでも講演してほしい
A. 呼ばれれば行く。(交通費を出してもらえれば、とおっしゃっていました)

Q. 非正規雇用について
A. 非正規雇用が悪いことだとは思わない。それでしか働けない人もいる。

質疑応答の中で印象に残ったものがありました。
新しく入った人たちはフリースケジュールに共感しての入社なので、とても自由だそうです。
それは武藤さんが「自由すぎる!」というほどに。

既存のパートさん達はフリースケジュールといっても、ある程度の法則のようなものはあるそうです。
新人さん達はそういうものがまったくなく、ほんとうに自由なんだとか。
そこで、既存と新人のパートさんの間に変な空気が流れているそうです。

でも、武藤さんはそれこそが大事だと言います。
新人さんにはこう伝えたそうです。
「変な空気になっていますが、自分が守るからあなたたちは自由を貫いてください!」
そして既存のパートさんにはこう伝えました。
「私が自由にしろと言ったのです」

この会社はこうやって進化していくんだ、と感心させられました。
一人ひとりとしっかり向き合い、会社を良くしようという姿勢が痛いほど伝わってきました。

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14.イベント終了、サイン会

イベントの最後に、武藤さんが影響を受けたという映画監督・鎌仲ひとみさんのご紹介がありました。

その後、店内でサイン会でした。

サイン会では、ブログを紹介していただいたお礼と、武藤さんの取り組みへの思いを伝えました。

武藤さんと会社の取り組みを知ったのは去年のこと。
わたしは、なかなかフルタイムで働けない自分のことを引け目に思っていました。
武藤さんが働くパプアニューギニア海産のフリースケジュール制は、働く人のことをとても尊重していると感じました。

そういう会社がもっと増えれば、わたしでも働ける場所があるかもしれない。
働ける場所があるということは、この世界に自分の居場所ができるということ。
それって、わたしがこの世界に生きていてもいいっていうことかなと思いました。

なんだか、生きていく光や道筋を見せてもらった気がしたのです。
うまく言葉にできたかはわかりませんが、そういったことを伝えました。

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15.最後に

トークイベントに参加し、生で話を聞く機会に恵まれました。
これはぜひ皆に知ってもらいたい!と思って、まとめることにしたのはいいのですが、とにかく長くなってしまいました。

何日もかかり、何度も意識朦朧(!)としました。
こんなに長い文章を読んでくれる人は果たしているのだろうか?と不安になりながらの作業でした。
さすがに、この広い世界。
1人くらいは、この記事を必要としている人がいるだろうと自分を励ましながら完成しました。
その1人に届いているといいのですが…。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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書籍「生きる職場」には、東日本大震災のことなどトークショーでは話されなかったことも収められています。