姫野桂さんの著書「私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音」を読んだ感想です。
「私たちは生きづらさを抱えている」の感想
著者である姫野桂さん自身も発達障害です。
サブタイトル「発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音」にもあるように、発達障害の当事者へのインタビューや対談がまとめられた本です。後半の第2部には、姫野さん自身のことも綴られています。
当事者の方たちの声は、わたしも身に覚えのあることが多く、読んでいてつらいところもありました。
しかし、自分と同じような当事者のストーリーを読むことで、自分を客観視することもできました。これは、自分を客観視するのが苦手なわたしにとっては良かったことです。
自分では自覚できていなかったり、言語化できていない困りごとを理解するきっかけにもなりました。
自分の困りごとをうまく周囲に伝えられない人は、まわりの人にこの本を読んでもらうのもいいかもしれません。
Haptic Designについて
この本を読んで、「Haptic Design」(触覚のデザイン)という概念を知りました。
ストレスがたまっているときに何かモコモコしているものを触ると落ち着くことに気づき、そこからhaptic designにたどり着いたそうだ。
「私たちは生きづらさを抱えている」P30より
わたしもイライラしているときに、石やシーグラスを触ると心が落ち着くことがあります。それと同じような感じかなと思い、気になるので調べてみようと思いました。
ジョン・エイカー氏の言葉
インタビューの中で、ジョン・エイカー(ショーン・エイカー)さんの言葉を引用している方がいました。
「就職(成功)したら幸せになる時代ではない、幸せになったら成功できる時代だ」
「私たちは生きづらさを抱えている」P192より
このジョン・エイカーさんという人は、ハーバード大学を卒業し「ポジティブ心理学」の第一人者だそうです。この方が、スーパープレゼンテーションで語った言葉です。
わたしは、今までになんども就職で挫折してきました。人並みに働けるようになりたいとガムシャラにやればやるほど上手くいかず、体がボロボロになりました。
最近、就職(アルバイトやパートも含め)するより先に、自分と向き合うことが先だろうと思うようになっていました。今までの自分のままでは、同じことを繰り返すだけだと感じていたのです。
そういったわたしの考えを後押ししてくれるような、この言葉にはちょっと救われた気もちです。
最後に
「私たちは生きづらさを抱えている」のような、当事者の声を集めた本は初めて読んだように思います。
さまざまなケースの人が掲載されていて、「発達障害」と一口に言っても人それぞれであることがよくわかります。
当事者の方が自己理解を深めるためにも、あるいは発達障害の家族や友人がいる方が相手を理解するにも適した本ではないかと思いました。